DIGITAL
STRATEGY

デジタル戦略

デジタルトランスフォーメーション本部
デジタル開発グループ

武井 信之2003年入社
2020年4月に損保ジャパン営業企画部へ転出

新技術の導入と
アジャイル開発をリードする。

デジタルを用いて
既存のものを変革していく

AIやクラウド、RPAといった新しい技術を用いたシステム開発を、代表して担っているのがデジタルトランスフォーメーション本部です。従来のCOBOL言語を用いたホスト系の開発もまだまだ重要ですが、最新技術を常にキャッチアップし、社内の技術力をアップデートしていくことが目的です。また、本番リリースに向けた開発をするにも、技術が新しく前例がない場合、巨額な投資に対する効果が保証できません。そのため少ない予算で小さなアプリ開発を行い、本当にビジネス課題を解決できるのかPoCという形で検証しています。
また、デジタル・ディスラプションとも言われますが、当部署はデジタルを使って既存のスキームや組織のあり方を変革していくことを期待されている存在だと思っています。その中の一つの取り組みとして、先頭に立ってアジャイル的な開発を当社に浸透させていくこともミッションです。ピラミッド構造の縦割り組織では、情報伝達も一段ずつエスカレーションしていかなくてはならず時間のロスになりますし、中間マージンもかさんでしまいます。そこで、組織を一律フラットにし、どのメンバーも結果に対してコミットし、自律的に学び、考え、少ない労力で結果を出すPDCAサイクルを回していくことを目指しています。これは従来のウォーターフォール型開発においても、マインドとして浸透させることができると考えています。

業界にインパクトを
もたらした画像解析アプリ

これまでの開発で代表的なものが「カシャらく見積り」というアプリで、営業店にて保険商品の乗り換えのご契約時などに用いられています。これはタブレット端末のカメラ機能で撮影した他社の保険証券や車検証の内容を、AIによる画像解析で損保ジャパンの補償内容に瞬時に読み替える、迅速な保険設計に役立つもの。補償内容の読み替えは、熟練した人でないと1証券につき数十分かかりますし、情報がロストして「前の保険で付いていた補償が無い」といった事態になると大変です。ですから、読み替えをAIが担うようになれば、「こういう自動車の乗り方をしているなら、こういう補償をつけたほうがいいのではないか」といった、人にしかできない品質を上げる提案ができるようになるわけです。このアプリをリリースするにあたっては、プレスリリースを出した際に多くの問い合わせを耳にしましたので、かなり業界へのマーケットインパクトが強かったのではないかと自負しています。
開発時に一番大変だったことは、画像解析の精度。このような領域に適用することが初めてだったため、PoCを行い90%以上の精度が出そうだということで本開発に進みました。しかし精度が出ず非常に難航し、関係者には実現は難しいと何度も言われましたが、社内外のメンバーがワンチームになって対応し、達成すべき精度まで到達することができました。予算も納期も決まっていましたし、何より当部署として初めて手がけたシステムでしたのでプレッシャーも大きなものでしたが、その分楽しかったとも言えます。現在、可能な限りサーバレスで保守しやすく迅速に立ち上げられるように構築・保守し、さらに利用者を増やそうと模索中です。

自然言語処理を用い
高評価を得た社内システム

また、社内的にインパクトのあった開発でいうと「教えて!SOMPO」という各種コンテンツの横断検索システムがあります。営業店で扱っている保険商品は、数も多い上に商品特性上規定も複雑。そのため、保険商品を取り扱う際に、こういうケースの時は保険引受できるのか、保険金の支払いはどれくらいなのかといった内容を照会票エクセルに入力し、本社の商品部に問い合わせる必要がありました。自分で調べるにもデータが散在しており、慣れている人でないと情報のありかが分からない状態。そのような課題に対し、「教えて!SOMPO」では、自然言語処理により話し言葉やメールの文章などの自然文を形態素解析し、関連度が高いものを検索結果に候補として上げることができるようにしました。その結果、ユーザーアンケートでもポジティブな評価が100%という前例のない結果を出すことができ、大きな成果となりました。

自律的で技術力も高い、
単体でも生き抜ける組織へ

今後は、引き続き先進的な案件の対応を進めていきたいと思います。案件単発での成功もさることながら、その過程で得たノウハウをどんどん社内に展開してデジタルを一般化させていき、ひいては当社の実力を高めることでより価値を提供できるようになれば良いと考えています。前例のないことを推進しなければならないため試行錯誤になるケースが多く、スケジュールやコストの見通しが他のシステム構築と比較すると難しい面もありますが、世の中にないサービスを自分たちの力でリリースしたときの達成感や、現場のユーザの方々から感謝の声や驚きの声を聞いた時には非常にやりがいを感じます。
新しい技術を用いた開発では、困難にぶつかった時も自分を鼓舞し続けて諦めないことが大切。そういう意味でも、やはりもう一つの抱負はアジャイル的な働き方を浸透させていくことです。私たちの仕事はほとんどが親会社からの受託案件です。良い面は事業会社の特性などについて安定的に理解しクイックに動ける点。親会社が非常に規模の大きい事業会社であり体力があるため、大きな案件に携わるチャンスが多いという点。また、業界でもトップランナーを目指せる立ち位置にいるため、自分が業界を牽引する案件に参画しているというやりがいが持てる点。そういった恵まれた環境である一方で、失注することがないためあぐらをかいてしまう可能性も秘めています。
ですから、親会社以外の会社を相手に、当社単体でも生き残っていけるくらいの技術力を身につけなければならないという気概を持っています。そのためにも、さまざまな内部施策を考えており、当本部が音頭をとってチームビルディング塾注1への参加を募ったり、ギルド制注2のようなチーム作りを模索したりするなど、主体的な働き方ができる組織づくりを目指し、啓蒙活動を続けたいと思います。

  • 1)チームビルディング塾:今までは、個人で仕事をしていたが、チームで自律的に組織運営を行うことを学ぶための塾
  • 2)ギルド:同じ専門性を有する人材を集めたチーム。現時点では、下記のようなギルドがある
    PaaSギルド、AIギルド、BA(BusinessAnalysis)ギルド等