FUTURE
INNOVATION

未来革新
プロジェクト

経営企画部
SOMPOシステム
イノベーションズ株式会社出向

石井 豊臣1995年入社
※所属部署名は取材当時のものです

予算規模1500億円超。
業界を先駆ける、基幹システム全面刷新プロジェクト。

未来革新プロジェクト概要

1980年代に構築され、改修を重ね複雑化・肥大化した基幹システムを刷新するプロジェクト。国内の主要な金融機関に先駆けてJavaなどのオープン技術を全面採用している。およそ1,500億円もの予算を投資し、外部接続性の高いシステムを構築し、よりスピード感をもった開発を行えるようになることで、付加価値の高いコア業務領域の拡大、新たなビジネスの創出を目指す。

特徴

範囲

現行システムほぼ全面刷新

85%現行に対する刷新の割合

*上記は4期リリース完了時

規模

巨大な工数と長大な期間

70,000人月超6年超2016/10〜2022/12

*上記は2期リリース完了時

手法

データもアプリも一括切り替え

ビッグバン型

*ただし対応範囲で期間を区切り、段階リリースを行う

プロジェクトの目的

保険事業会社全体

全業務プロセスの
抜本的見直し

  • 試算数値:事務コスト半減
  • 狙う効果:コア業務領域の拡大

システム

Size開発規模の縮小化(スリム化・重複排除)

総ステップ数

*開発規模の縮小化により、開発速度向上を図る

Speed開発速度の向上

保守開発期間

商品改定によるシステム改修期間を縮小(PF/BRMS)

Sharing外部接続性向上

採用技術

大きなインパクトを与えた
オープン技術の採用

現在使用している基幹システムは1980年代に作られ、既存機能を改修したり新機能を付け加えたりする中で複雑化・肥大化してきています。その結果、基幹システムの開発を行うためには長い期間と多くの手間を要することになってしまいました。そういった機動性に欠けた状況を解消するためにシステムの全面刷新を行うことが決定し、本プロジェクトが発足しました。当社からは約360名もの社員がこのPJTに参画しています。

複雑化・肥大化で問題となるのは、新しいシステム開発が必要な際に、現行のシステムをどう直したら良いかの分析に時間と手間がかかってしまうこと。また、一つのことを実行するために作り込まれたシステムも多く、さらにさまざまなサービスや機能と絡み合ってしまっており、不具合が出た際の原因も特定しにくい上に外部接続性も低下してしまうことです。そのため、一つひとつ互いに影響を与え合わないよう最適なサイズに分割されたサービスや機能を組み合わせて使う疎結合化も目指しています。
これから世の中が変化し、デジタル技術も進化する中で、よりアジリティの高い開発を行うことにより、あらゆるビジネスチャンスを掴んでいく必要があります。そのためには極力人間がやらなくてもよい業務を当システムが担い、事務コストを減らすことで、よりお客さまのためになる付加価値の高い商品サービスの提供に集中できるようにするなど、業務プロセスの抜本的な見直しも含めて行われています。
また、現在はCOBOLという昔からある言語を使用してシステムが構築されていますが、本プロジェクトではJavaという言語を使用してシステム刷新することとしており、当社の研修育成もJavaを中心のものに切り替えています。基幹システムをオープン技術で刷新するのは、国内の主要な金融機関に先駆けた業界初の試みです。現行システムのことを熟知した人材がいなくなるタイミング、いわゆる「2025年の崖」をどう乗り超えるか、という社会全体の問題に対する答えの一つが本プロジェクトの取り組みだと思っています。この問題の解決策としては、新しい人材がシステムを作り変え、システムを把握していくことが有力な方法だと考えています。そういう面でも、この試みは業界に大きなインパクトを与えていると思います。

「なぜ必要なのか」を考え、
容易な現行踏襲はしない

私は当社の経営企画部に在籍しながら、本プロジェクトのために損保ジャパンと日立製作所の共同出資のもと設立された、SOMPOシステムイノベーションズ株式会社に出向し、プロジェクトのPMOを担当しています。当社のみの人員では立ち行かなくなるほどの規模のため、ジョイントベンチャーを立ち上げるに至っています。経営企画部からの視点で見ても全社員に占めるプロジェクト参画社員の割合が非常に高いことから、会社としてこのプロジェクトを非常に重要視していることが分かります。
プロジェクトを進めるにあたっては、やはり金融機関という公共性の高い業界のシステムのため、一つのミスが世の中の多くの方々に影響を与えかねないという責任の大きさを感じています。そのため、計画から開発まで極めて慎重に行わなくてはならない点が他の業界にはない難しさだと思っています。また、トータルでかなり長期のプロジェクトになりますので、まずは傷害、次に自動車、そして火災、というように、保険商品ごとに段階を追って作っていくことになります。それぞれの保険商品にスペシャリストが存在しているため、各メンバーがそれぞれのリリースのタイミングごとに参画してきます。一期、二期、とメンバーが新たに入ってくるごとに、本プロジェクトのコンセプトや目的、狙いを伝えたり情報格差を埋めたりする必要がありますので、そのための説明会も行っています。コンセプトという点では、データもアプリも一括切り替えのため、「なぜそれが必要なのか」という視点を持って、容易な現行踏襲、単純な乗せ替えはしないよう説明しています。開発が忙しくなると「とにかく早くできるように」、と考えがちですが、とかくそこにはこだわって欲しいと啓蒙しています。
なかなか想定通りにいかないところもありますが、損保ジャパンの社員だけでも約26,000人、代理店が約53,000店、その先のにいる十万を超えるユーザーが使うシステムですから簡単に止めるわけにはいきません。多くのユーザーに使ってもらっているプライドと責任感を持ち、とにかくユーザーに喜んでもらえるシステムの完成を目指していきます。

ビジネスへの効果創出のため、
若手の視点にも期待

今後取り組みたいテーマとしては、新たなシステムをいかに活用し、新しい商品やビジネスに繋いでいくかということです。新システムに移行することで、新商品開発の期間を短くすることや、いろいろなサービスとの連携が可能になります。本プロジェクトは、「スタートとゴール」なのではなく、目的が大切なのだということを忘れずに、コンセプトをしっかり伝承し、維持・メンテナンスを行いながら、せっかく作ったシステムを活用してもらうための提案ができたら良いですね。
私個人としては、目に見えない「安心」を提供する保険業界に興味を持ち当社に新卒入社しました。入社後システム開発・保守を通して保険商品や業界についても深く理解することができましたし、今後は全社目線で、当社がより多くの人から愛される会社になるために、やるべきことや取り組むべきことを見つけ、実行していきたいと思います。
入社後に本プロジェクトに参画する若手もたくさんいると思います。私も1995年に入社して以来、これだけ大規模な開発に参画したことはありません。世間に注目されているプロジェクトに携われるということは誇りにもなると思いますし、一つの成果を出せば自信にも繋がるでしょう。私がもし新卒の立場だったら、このような開発に携わり、開発したシステムのプロになれるという、いわば半世紀に一度くらいのチャンスが目の前にあるという期待感があると思います。また、パートナー会社の方々もすぐ隣で仕事をしていますので、いろいろな企業文化に触れ、知識を得ることができる環境も面白さの一つです。デジタルネイティブ世代の若手には、世の中にある新しい技術と当社が担うシステムを、どう繋げたらビジネスに良い効果をもたらすか、若手ならではの感覚や視点を本プロジェクトにも還元してほしいと考えています。